ひざの、ケガの事
舞台で踊るパートナーの方が膝を怪我してしまいました。ひざの、前十字靭帯損傷です。
僕もおなじ傷をもち18歳から3回もひざの手術をしており、知らせを受けて辛くなりました。
着地の瞬間に受けた痛み。膝から下を一刀両断にされたかのよう、絶対零度の一閃が走ったかと思えば血が沸騰するような熱い痛みにしばしその場にへたりこみ動けませんでした。
20年前の記憶をたどって次に思い浮かぶのは大阪日本橋のでんでんタウン。「大阪の秋葉原」と呼ばれるオタクの聖地。バレエ団の先生に言われるがままに通院した治療院のお灸の匂い。夏の大阪の暑さ。エアコン室外機から流れる生ぬるい風。その通りを脚を引きずりながら歩く自分の姿。メイドさんやアニメのキャラの笑い声。
タイムマシンがあったらその時に戻って自分に言いたいです。
「外科で診てもらえ!」と、あるいは
「段階をすっ飛ばして難しい技に挑戦するんじゃない!」とも。
安全にカリキュラムに沿って指導できるようになりたくてバレエ教師の資格を取ったのはこの頃の教訓からです。
受傷後にすぐ手術しなかった事も大きな後悔になりました。
怪我がなければ今も大阪で踊っていたかもしれません。ケガの影響で僕の性格は確実にねじ曲がっていくのですが、ケガがなければバレエへの情熱。続ける意志。身体や動作への思考や興味は今以上のものにはならなかったと思っています。
そんな過去の思念がうずまき、居ても立っても居られず、その方に励ましのメッセージ送りました。あるいは18の自分に。
その方は早くも前を向いていて手術とリハビリを頑張ると言ってくれました。
大丈夫、きっと良くなります。また踊りましょう!
1件のコメント
Chio Shibata
過去は変えられない。
今の自分が未来を創る。
その瞬間を見せていただいたような気がします。
けがをされ方が一日も早く舞台に立てることをお祈りし、そしてその舞台をいつか観ることができたらうれしく思います。