プログラム秘話
「いつかシルフィードを踊ってみたいです」去年のいつ頃だったろうユイちゃんにこうアピールされたのでした。ふむ人数は確保できるし、この作品の振付は基礎の宝庫。小5、6中1メンバーが中心になる群舞にとっても良い題材「悪くないなあじゃあ来年」と構想を練ってまいりました。
ラ・シルフィード。マリー・タリオーニが史上初めてポワントで踊った作品…。おとこのスカート衣装…。と連想していって「ロマン主義」というワードにコンセプトを思いつきます。
「ロマン主義」はざっくり言うと“未だ見ぬ世界への憧れ”バレエ作品においては“未だ見ぬお姫様”や“死んだあの娘のいる魂の世界”と古典の作品には現実世界と幻想世界の対比がすごく多くて影響の大きさがわかります。のみならず芸術界を席巻した潮流なので、日常から別の世界に迷い込む系のジブリ作品、異世界転生漫画もこれに含まれると思われ枚挙にいとまないですね。
ところでお盆中、42歳厄祓いの同期会があったのですがこの辺りの世代から社会にテレビゲームが本格的に普及し、我らこそはTVの中で女の子に恋愛をし、敵を殴り倒した最初のヴァーチャル世代と言えます。
今や世界は可視化されスマホで検索すればあらかじめ全部わかってしまいそうです。科学で説明できないモノは存在しないと同義です。
「ネッシーはいます」「ツチノコは存在します」「STAP細胞はあります」「シルフィードは森の中に住んでいます」
人は現実以外にさまざまなレイヤー(層)の中で生きてますよね。そして言葉で世界に意味づけしたフィルターを通して。仮想と言われるモノでも追いかけている人には限りなくリアルで無関心な人にとって現実世界あっても存在してないと同じです。法律が存在しているならシルフィードも存在する!と筆を置く。
「…そういうコンセプトでは無いんじゃない?」「うん、そういう事じゃないな」(脳内)
まあでも日常のフィルターに揺さぶりをかけるのも芸術ですよね。ともあれ真にフロンティアなきこの時代のテーゼは脇に置き「ロマン主義」のワードで僕なりの作品を構成しました。
1部はお城での王子様とのひと時を夢想するシンデレラを中心に、懐かしいような、不思議なイメージでバレエ作品を構成し「空想モンタージュ」をタイトルをつけました。
2部は「オーロラ姫の誕生会」と題し“眠り”の各幕から抜粋です。“眠り”は普遍性や厳格を重んじるバリバリの古典主義。違いを出していきたいです。
3部今回私の憧れで生徒達にジャズダンスに初挑戦してもらいました。他も自然と楽しくなる様な作品でタイトルは「joy with dance!」
そして4部が「ラ・シルフィード」です。ステップは基礎の宝庫と書きましたが力んだり、荒さが見えると心は妖精、身体は人間になってしまって夢から醒めてしまいますね、頑張ります!
プログラムに込めた思い、脱線しつつ長々書いてしまいました。お盆休みを明けてから残り一か月、今この文をしたためたこのテンションの高さで、お客様に一瞬でも日常から切り離してファンタジーに浸ってもらいたいです!